雑穀の良さを挙げるとき、いつも栄養や豊富な食物繊維による整腸作用に触れるのですが、雑穀にはもうひとつ良い効果があります。
それは、噛む回数が増えること。
白米と雑穀米、あるいは玄米などを食べ比べるとすぐわかるのですが、歯ごたえがとても良いです。
玄米やハトムギなどは、かみ切るときに独特のブチブチ感がありますよね。飲み込むまでに何回も噛み砕かなければばいけません。
白米は比較的最近になって普及したもので、昔の人は雑穀や、精米技術が発達していないためぬかが残った米をよく食べていました。
現代人は1回の食事に平均620回咀嚼すると言います。江戸時代では2倍以上に増えて1,500回程度、鎌倉時代は2,500回だと言われています。
稲作が始まったばかりの弥生時代、原始的な生活では人類は4,000回も咀嚼していました。今とはもう桁が違いますね。
咀嚼しなくなると、あごが細くなり、歯も弱くなります。でも変わるのは見た目だけではありません。
よく噛むといいというのは、食べたものが細かく砕かれるのはもちろん、唾液が食べたものによく絡むということで、消化を助ける働きがあります。
噛むことで唾液がたくさん分泌され、虫歯などの口腔内の病気を防ぐことができます。
また、噛むことは脳にも刺激を与えます。最近の研究では認知症との関連も指摘されています。
もうひとつ、何かを噛むことで脳がストレスを感じにくくなるということもわかっています。そのため、集中力がそれないように、スポーツ選手や勉強に励む学生がガムを噛むことがあります。
最後に、女性なら必ず聞いたことがあるかもしれませんが、噛む回数が増えると満腹感が得られると言われています。そのためダイエット中は意識的によく噛むと良いことが広く知られています。